診療科長のご挨拶ページ
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診療科長のご挨拶

教授挨拶

牧之段学教授
 2025年10月1日付で、熊本大学生命科学研究部神経精神医学講座の第9代教授を拝命いたしました、牧之段 学と申します。

 本講座のモットーは「誠実」であります。患者さんに対して誠実であることは、医療者としての信頼を得るための根幹です。当然の姿勢でありながら、日常の中で見失われがちなため、あえて講座の基本理念といたしました。近年、医療現場では患者さんと医療者との関係性が変化し、ときに相互不信が医療の質を損ねる、本末転倒な場面も見受けられます。私たちが誠実な姿勢を貫くことでこそ、真の信頼関係を築き、本来の水準の医療が提供できると考えております。
 また、大学医局や同門会の運営においても「誠実さ」を重んじます。現在、地域精神医療は大きな転換点を迎えており、医療機関の存続すら危ぶまれる状況があります。今後は、個々の施設の枠を超え、地域全体としていかに医療を展開するかを共に考えなければなりません。このような困難な状況で求められるのもまた「誠実さ」であり、所属する医療者、そして同時にその家族にとっても何が最善かを思慮し、その答えをもとに誠実に行動できる人材が求められています。相互に誠実であるならば、必ずや互いに助け合える関係性が築かれると信じております。
 研究においても誠実さを貫きます。精神疾患の病態は未だ不明な点が多く、治療も対症療法が中心です。私は自閉スペクトラム症や統合失調症の研究に携わっておりますが、数多の論文が蓄積されながらも、中核病態の解明には至っていません。患者さんやご家族は根治的な治療法の開発を切望されていますが、精神医学は十分に応えられていないのが現実です。大学には知を創出し社会に還元する使命があります。この現実に真摯に向き合い、誠実に研究を進めるとともに、次代を担う研究者を育成してまいります。
 「良心に忠実に」「隗より始めよ」という言葉があります。まずは私たち自身が誠実に職務に取り組み、社会からの信頼を得ること。そこから、診療・教育・研究・組織運営のすべての側面において、健全な好循環が生まれると考えます。
 今後ともご支援とご指導を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

熊本大学生命科学研究部
神経精神医学講座 教授
牧之段 学

熊本大学病院

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